連載コラム!

NAUI × ずかんくん

沢山知って、ダイビングを
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はじめまして!このたび『ダイビング指導機関NAUI宣伝隊長』に就任いたしました!海の生き物大好き!イラストを描くのが大好き!ずかんくんです!
広い海にはどんな生き物たちが暮らしているのか?『沢山知って、ダイビングをもっともっと楽しんじゃおう!』をテーマに、毎回登場する生き物を変えながらお話していきます!

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ずかんくん

第16回 ずかんくんコラム 
「海の誕生」

「海の誕生」

はじめに

これまで、僕の海洋生物コラムを読んでくださっている皆様には、沢山の海洋生物を紹介して参りました。
海に棲む生物の多様性を、コラムをとおしてお伝えできたのではないかと感じております。
主に、海という場所を冒険の舞台として、我々ダイバーはスクーバダイビングを楽しんでいるわけですが、僕たちはこの広大な海についてどれだけのことを理解しているでしょうか?

僕たちは、この世界に太陽や地球、空気があると同じように海が存在することを当たり前に感じています。
では、海はいつ誕生したのでしょうか?
今回のコラムでは、海の誕生についてお話しさせていただきたいと思います。

地球の誕生

海の誕生のお話しをする際に欠かせないのが、海が存在する地球の誕生についてのお話しです。
今からおよそ約46億年前にこの地球は誕生したと考えられています。
最初は、宇宙に漂う細かな岩石が集まって地球のもとができました。

地球の誕生

その地球のもとに小惑星や隕石が絶え間なく衝突し合いました。その後、ドロドロに溶けて地球の表面は熱いマグマの海に覆われます。
そして、ある小惑星が氷を運んできました。氷はマグマの熱で溶け、水蒸気となり大気が形成されました。

地球の誕生

徐々に地球の温度も下がり、地球表面が冷えていきます。
そして雲ができ、雨が地表に降り注ぎます。雨には多くの二酸化炭素が含まれていたため、酸性雨として降り注いだときに、マグマに含まれる岩石の中にあるナトリウムと反応し、このとき「塩」となりました。そして大雨が長く降り注ぎ、ついに「海」が誕生しました。

地球の誕生

しかし、このときまだ海は青ではなく赤色をしていました。
なぜならば「鉄分」を多く含んでいたからです。その後、鉄分は酸素と反応し錆びつき、海底に沈んでいきました。
こうしてついに海は澄み渡り、私たちがよく知る「青い地球」が誕生したのです。

地球の誕生

酸素の誕生

およそ26億年前に、太陽の光を浴びて栄養を作る「シアノバクテリア」という光合成をする生きものが登場します。
光合成をしたシアノバクテリアは沢山の酸素を放出しました。

地球の誕生

生命の起源

さて、私たちのような生物の起源はどこにあるのでしょうか?
全ての生物の始まりは、この青く広大な海の中で誕生したということに、異論を唱える科学者はいません。
では、この広い海の中で分子と分子はどのように出会い、結合して生物に進化したのでしょうか?

生命の起源

実は原始の海の底では、活発な熱水噴出活動が起こり、そこで最初の生命が誕生したのではないかと考えられています。熱水噴出孔の中は無数の小さな孔が開いています。
この小さな穴の中で分子と分子は出会い、結びついたのです。
その後、地球は火山活動により放出された温室効果のある二酸化炭素が減って、気候が寒冷になったことで地球全体が凍結していく氷河時代を迎えます。
これをスノーボールアースや、全球凍結と呼びます。

生命の起源

誕生していた生物たちは、この過酷な環境下でどのように生き延びたのでしょうか?
その謎を解くカギもこの熱水噴出孔にあると考えられています。
全球凍結状態の時代にも熱水を吹き出す場所では、わずかながらに生物が生き延びたのではないかと考えられています。

生命の起源

現在の深海域にも「熱水噴出孔」が存在します。
メタンや硫黄、亜鉛や銅などの有害物質と、熱い場所で摂氏400度以上の熱水を吹き出す極限の環境です。しかし、この極限の環境下にも関わらず、驚くほど多くの命で溢れています。
この環境下に広がる生態系を「化学合成生態系」と呼びます。

生命の起源

その後、地球は再び火山活動が活発になる時代を迎えます。
火山活動が活発になることで、沢山の二酸化炭素が供給されて、今度は温暖化に進みます。
そして地球を覆っていた氷床(ひょうしょう)がどんどん縮小していきます。
このサイクルは地球史で、少なくとも3回ほど起こっていると考えられています。

生命の起源

生物進化の大躍進時代の訪れ

最後の氷河時代が終わったのちに、ついに目に見えるほど大きな生物が海の中に現れ始めます。

生物進化の大躍進時代の訪れ

終わりに

地球の表面積の約5億1000㎢(キロメートル)の70%が海で、その表面積は約3億6000万㎢にもなります。
地球の水は約14億㎢で、そのうち99.2%が海水です。
僕たちダイバーにとって身近な存在である「海」ですが、科学技術の発達した現代でもこの広大な海のわずか1%しか僕たちは認知できていないと考えられています。
それでも今回のコラムで触れたように、少しずつ海の誕生について色々なことが分かってきました。
スクーバダイビングは、海中世界を直接見て知ることのできる手段として、有用な方法です。そして何よりも体全体で海を感じることが可能です。
是非、スクーバダイビングをとおして、改めて「海」という存在に思いを馳せてみませんか。

・特別展「海」生命のみなもと 図録(NHK NHKプロモーション 読売新聞社)
・特別展「生命大躍進」脊椎動物のたどった道 図録(NHK NHKプロモーション)
・特別展「深海2017」最深研究でせまる生命と地球 図録(NHK NHKプロモーション 読売新聞社)
・国立科学博物館 地球館ガイドブック 地球生命史と人類~人類との共存をめざして~
(独立行政法人国立科学博物館)
・マンガ 古生物学 ハルキゲ二たんといく地球生命5億年の旅(築地書店)
・小学館図鑑NEO 魚(小学館)
・小学館の図鑑Z 日本魚類館(小学館)
・ポプラディア大図鑑 魚(ポプラ社)
・学研の図鑑 Live 魚(Gakken)
・講談社の動く図鑑move 魚(講談社)
(2024年9月)