連載22回目は、有害ウニの駆除や、ビーチクリーンアップなど、山陰の海洋環境保全活動に積極的な、
ダイビングショップFUN(山口県下関市)の代表、佐藤 誠様(NAUI#39501)です。
はじめにNAUI50周年、NAUI・JAPAN設立40周年おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
早いもので、私がNAUIメンバーとしてデビューしてから8年目を迎えます。色んな思い出、お客様との出会いがたくさんありました。50周年の歴史をもつNAUIには、海を愛するものとして、この記念は大変うれしく思っております。年々不景気でダイビング業界も厳しい時代ではありますが、NAUIの益々のご発展を応援しています。
今回NAUIよりこんな大役のご連絡を頂き、諸先輩方々には大変申し訳なく思っております。
私は、海が大好きでダイビングをはじめて13年が経ちます。2001年NAUIの当時担当者のお心遣いで、他団体からクロスオーバーをし、NAUIメンバーの仲間入りをしました。そして8畳一間の小さいお店からNAUIインストラクターとして活動を開始し、現在はコースディレクターとして山口・九州方面のインストラクター育成の担当をさせて頂いています。
お店は山口県下関市にあり、本州最西端に位置し日本海側でダイビング講習・ファンダイブや潜水業務をメインとしたビジネスを展開しています。
ダイビングショップを開業してから、特に気にしないといけないのは、ゲストの安全管理ですが、自然環境や環境保全も同時に考えなければいけません。ここ何年間温暖化により、生育している生物や海藻などの大きな変化を感じています。そして生物が少なくなっている場所も多く見られるようになりました。その影響のひとつとしてあげるとすれば、海への汚染が考えられます。日本海は他国に近く、よく浜辺や海中に「ハングル文字」の空き瓶や、ポリタンク、ひどいときには有毒な医療品なども目視します。それを見て見ぬふりはできません。そこで8年前からはじめた『海中と浜辺をクリーンに!!』を合言葉にクリーンアップを、毎年6月に皆さんのご協力を頂き開催をしています(FUNでは、下関市のポイントとして室津・吉母とあり、下関市全体のクリーンアップ大作戦にあわせ、下関市役所と各地区の漁業協同組合などのご協力のもと実施しています。)下関市地区は、ゴミの分別が義務付けられていて、燃えないごみ・燃えるごみ・空き缶・プラスチックなどしっかり仕分けして回収を行っています。
「どこからこんなにゴミがきているのか?」毎年思うのですが、本当にゴミの多さには驚かされます。ゴミのない地球がくることを毎年思いながら、ゴミ拾いを継続して実施しています。1人1人が、ポイ捨てやゴミを捨てない意志を強くもってもらえれば、ちょっとした心遣いで、環境の破壊を防ぐことがきっとできるはずです。各地区で行われているビーチクリーンアップに参加してきれいな地球にしましょう!そうすればゴミに対しての重大さが理解できるはずです。地球をクリーンにするため、FUNはいつも自然環境・環境保全に全力で協力し応援しています。
2009年度より、日本海側ではじめてのウニ駆除のメンバーとして活動をはじめました。国・県・市の5ヶ年共同事業として漁業の活性化を図るため、下関市阿川地区のガンガゼ駆除や小串地区のムラサキウニ駆除活動です。駆除対策として3工程で構成され、計画・打ち合わせからはじまり、モニタリング、そして駆除という順番です。2地区の駆除ですが、面白い光景にも出くわします。同じ日本海でも、阿川地区はガンガゼが右を見ても、左を見ても多く発生しているのに対し、小串地区の場合どこを探してもガンガゼは生存していません。やはり、ウニの世界でも縄張りというものが存在するのでしょうか?ムラサキウニは、一般的に「おいしいウニ」と評判ですが、夏のムラサキウニは身がほとんどついていなく売りものにならないそうです。そして海中で駆除したあと陸にあげても匂いがきつく処理に困るそうです。駆除方法は2とおり。まずガンガゼは非常に柔らかくそのかわり棘が鋭く駆除方法は慎重に行います。中央に目があるため、長めの指示棒で突き、左右で割って駆除をします。ムラサキウニは堅いため、特殊なハンマーで潰し駆除をしますが結構力仕事です。漁業の目的の多くはやはり、アワビやサザエの繁殖です。繁殖するためには、餌となる海藻の繁殖が大きな影響を及ぼします。その海藻をウニが食いつぶしてしまうためウニ駆除を行う訳です。
ウニ駆除をすることにより、海藻の繁殖によって魚の数も多く見られるようになるはずです。他県の地区でも開催されているとは思いますが、駆除の開催がある場合参加してみるのもおもしろいのではないでしょうか?FUNでは、多くのダイバーに駆除活動に参加をして頂いています。自然を守るため、かわいそうには思いますが海の環境を変えるためには仕方ないことなのかもしれません。私は思う、海に潜るたびに海の偉大さを感じさせてもらう瞬間が、いつどんなときに起こり得るかわからないので、このダイビングはやめられないのかもしれません。海に乾杯です!!いつもきれいな海でありますように!!
ダイビングスクール海学(MIGAKU)
ダイビングショップFUN
佐藤 誠(NAUI#39501)