国際サンゴ礁年の今年、サンゴ礁の市民参加調査「サンゴマップ」の普及と実践をしながら、サンゴマップ実行委員会や、海辺の環境教育フォーラムの海好きの有志が、日本の南の海岸を旅するサンゴマップキャラバンがまもなく始まります!
調査は9月3日福岡から9月24日沖縄県阿嘉島までの22日間です。
国際サンゴ礁年オフィシャルサポーターである弊社もこの活動に賛同し、バックアップをするべく、特集ページを作成しました。
サンゴマップキャラバンの報告をこのページに随時上げていきたいと思います。
海をフィールドとしてダイビングを行う私たちにとっても人間の生活にとってもサンゴ礁との関りは深いです。一人一人が意識を持ち、保全活動をしていくことが大事なことだと思っています。この特集ページで一人でも多くの方がサンゴ礁保全への意識を持っていただけることを願います。
特集ページを組むにあたり、このサンゴマップキャラバンの中心人物である帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科教授で、NAUIインストラクターでもある古瀬浩史氏(No.9035)にコメントをいただきました。
古瀬浩史氏からのコメント
・サンゴ白化の危機に対する思い
1980年代初頭、大学時代にスノーケリングやスクーバダイビングを始め、サンゴ礁など海の中の世界にすっかり魅せられました。社会人になって環境教育や自然解説を専門に仕事をするようになったのも、学生時代にダイビングにのめり込んだことが原因の一つかもしれません。2000年代には石西礁湖のサンゴ礁保全に関する事業で教育普及計画の立案や教材の開発を担当しました。この頃に、「あと30年のうちに、健全なサンゴ礁生態系は地球上から失われるかもしれない」という研究者の悲観的な予測を聞き、もし自分が何もしないままそんな日を迎えたら、どんなに悔しいだろう・・と思いました。そのことから、主として教育普及の観点からサンゴ礁保全に関わるようになりました。
私だけでなく、サンゴ礁の研究や保全に関わる多くの仲間が、似たような若い頃のダイビング経験や慣れ親しんだ素晴らしい海の喪失体験を持っています。
・サンゴマップキャラバンへの意気込み
サンゴ礁の状況は危機的ではありますが、キャラバンはポジティブに楽しんでやりたいと思っています。
九州、奄美、沖縄・・と旅していきますけれども、それだけで終わらせるのではなく、新しい仲間の参加を得て、サンゴマップ調査やサンゴ礁保全の輪が広がっていていくことを期待しています。
サンゴ好きのダイバーの皆様には、ぜひ新たな「サンゴマップキャラバン◯◯」を立ち上げたり、ダイビングショップやクラブの皆様には「サンゴマップ・ステーション◯◯」を立ち上げてほしいです。
※「サンゴマップ・ステーション」:継続的にサンゴマップに情報を提供したり、普及を担ってくれる地域の拠点。
・次世代へ望むサンゴ保全活動への願い
深刻な予測では、気候変動などの影響により、我々が生きているうちに健全なサンゴ礁生態系は失われるかもしれないとされています。別の見方をすれば、現在の世代が、それに抗うことのできる最後の世代であるとも言えます。
何もしないでそのような状況を迎えるのか、それとも何かの活動をするのか・・の選択です。
ダイバーは、水中の環境を直接的に観察することができる限られた人たちです。そのアドバンテージを活かして、何かのアクションを始めてみませんか。サンゴマップにぜひコミットメントください!
サンゴマップ実行委員会
帝京科学大学
古瀬浩史
サンゴマップキャラバン活動報告
※以下の活動報告はサンゴマップキャラバンFacebook記事から引用しています。
9月3日福岡から始まり九州セクションが11日間、そのあと奄美・沖縄セクションが11日、合計22日間のツアーです! サンゴ情報の少ない場所の調査とサンゴマップの普及の旅です。
台風が接近していましたが、初日のポイントは、熊本県の上天草野釜島です。サンゴは見つからず、ミルやアマモなど海藻草中心でした。
2日目は、熊本県 上島の樋島、下島の立海岸にやってきました。立では今回初のサンゴを発見しました。他の場所でもたくさんのサンゴを発見してほしいです。
3日目。サンゴの豊富さに驚きました。ただ、サンゴ砂やサンゴ礫はほとんどなく、やはり近年急速に増えたんじゃないか…と思えます。
天草は内湾の干潟からアマモ場、サンゴと懐が深いなあと思いました。
9月6日 天草からフェリーで鹿児島県の長島へ上陸しました。途中の漁港でスノーケリング調査も行いました。その後、水俣入り。水俣病資料館を見学したり、地元の海や環境の関係者に話を伺いました。
熊本県の水俣の明神海岸を調査しました。海藻とサンゴが混じる海でした。
サンゴマップキャラバン、6日目。ここまでの調査ポイントです。
7日目は調査お休みで1日中イオワールド鹿児島水族館にご協力いただき普及活動を行いました。鹿児島水族館は国際サンゴ礁年のオフィシャルサポーターでもあり、素晴らしいサンゴの展示があり、多くのサンゴ系イベントをされています。我々もフロアに展示を出させていただいたり、サンゴの骨格染めのプログラム、また、地元のガイドさん向けのインタープリテーションのセミナーなどもさせていただきました。
キャラバン8日目。喜入道の駅から南さつま市へ。鹿児島大の上野先生チーム5名と合流。休暇村指宿の支配人でカヤックやスノーケリングのガイドもする飯島さんに参画いただき、素晴らしいサンゴ群集に出会いました。
サンゴマップキャラバン九州セクション10日目。阿久根大川島海水浴場で最後の調査です。最後の夜を楽しんでます。地図は全調査ポイントです。
サンゴマップキャラバン九州は9月13日でフィニッシュ! でもまだキャラバンは続きます。明日から始まるサンゴマップキャラバン奄美沖縄のキャプテン、潮音さんにバトンを渡しました!
はじまりました!奄美大島セクション。
今日は倉崎海岸で調査です!地元新聞社に取材いただきました!
そして、夜は地元FMラジオで収録。サンゴ礁年のお話をさせていただきました!
奄美大島2日目は大浜海岸からスタート。綺麗なビーチです。気持ちよくスノーケリング。
礁斜面は5~6年ぐらい(?)の卓状のサンゴが揃っていて、回復傾向。礁池は枝状のサンゴの瓦礫が多く、被度は小さかったです。
本日2ヶ所は国直海岸。100メートルほど泳ぐとはなんとサンゴの被度はなんと80%!綺麗な海で癒されます。
南海日日新聞さんにサンゴマップ キャラバンのことを記事にしていただきました!本日は加計呂麻島へ行ってきまーす!!!
加計呂麻島です!
今朝のポイント・・目の前に広がる景色が、信じられませんでした。
9月16日 1ヶ所目。波静かな湾に枝状サンゴの豊かな群落。魚もたくさんでした!
2ヶ所目は、加計呂麻島北端の実久海岸。真っ白な砂地の帯状の岩場に、多様なサンゴがみられました。また、のんびり来たいところです。
人間がスケールになる程のテーブルサンゴと出会いました。
サンゴマップキャラバン奄美・沖縄編 4日目、移動日なので早朝から海へ。穏やかな湾内に様々な種類のサンゴが生息していました。
2008年から始まったサンゴマップは、白化が起きた時に情報が多く集まりますが、白化をしてないよ、という記録も大事です。
この素晴らしい場所がずっとこのままでありますように・・。
9月17日は与論島に移動し、サンゴバーを開催しました!海に優しい洗剤や日焼け止めのこと、サンゴが生きる海のこと、考える良き夜となりました〜
SUPとスノーケリングでのサンゴマップ調査が楽しそう!など、SUP体験を提供されている方とのお話も盛り上がりましたよ♪
与論島2日目。あおいろクジラさんにお世話になり、ボートダイビングへ!リーフの外に出ると、ひとつひとつの根にびっしりとサンゴが!今日は透明度が良く海も穏やかで気持ち良い海でした。サンゴマップ のチラシも置いていただきましたよ。
【サンゴマップキャラバン奄美・沖縄編5日が経過!】
14日に奄美大島から始まったサンゴマップキャラバン奄美・沖縄編。加計呂麻島や与論島を訪れ、10箇所で調査を行いました。1つのポイントでも場所によってサンゴの分布は異なるので、サンゴマップへ入力する情報はどんどん増えていきます。
サンゴマップキャラバン沖縄本島番外編!9月23日は琉球大学の学祭に立ち寄りました。ダイビングクラブの学生が、サンゴ礁域の生物を展示する「水族館」を見てきましたよ♪日々海に潜り、サンゴ礁域の豊かさ、面白さを感じ、少しでもその世界を一般の方々へ伝えたいとの想いから生まれた手作り水族館。たくさんの来場者で賑わっていました。
生物は丁寧に飼育され、この後また海に戻されます。
サンゴマップキャラバンin沖縄本島!昨日は北部の東海岸、9月24日は西海岸へ。石垣島で見た稚サンゴ、こちらでも多く観察できました。
サンゴマップキャラバンin沖縄本島。
昨日は安田の伊部海岸でスノーケリング。西海岸はあまりサンゴが多くないイメージでしたが、リーフエッジに近付くにつれ、小さなミドリイシの群体がどんどん増えていきました。なんと、テングカワハギにも出会えましたよ!
帰りは水族館や海洋文化館を訪れました。
とっても穏やかな沖縄本島北部、西海岸。水深1m、テーブルサンゴが見事に広がっていました。その先の景色、枝状ハマサンゴやパラオハマサンゴ、そしてカマスの群れ。ここ数年ずっと変わらない景色です。神奈川県から参加しているキャラバン乗組員、ガレ場の水深40cmで最後まで楽しんでいます。幼魚やオオイカリナマコがいました。
サンゴマップキャラバン特別企画!
今晩はOTダイビングクラブさん&Elly’s cafeさんにて、サンゴカフェ〜
サンゴマップキャラバンラストナイト!
Elly’s cafeさんでサンゴカフェを開催しました。
SDGsを意識した観光・ダイビングの在り方を考え実践されているお話や、ダイビングインストラクターが地域の子供たちへ環境教育をされているお話など、まずは地域の取り組みをそれぞれ紹介。沖縄そして伊豆や真鶴の情報交換を行いました。
その後、スノーケリング・スキンダイビング・スキューバダイビング等「海の中を見ること」が何に繋がるのか、参加者それぞれの活動事例をもとに考えました。
9月3日から始まったサンゴマップキャラバン。海の中を見続け、人との出会いや繋がりを紡ぎながら旅した21日間。この活動を何に繋げていくのか、各地域で集めたメッセージ旗を見ながら考える夜にもなりました。
サンゴマップキャラバン最後は琉球大学ダイビングクラブにサンゴマップの方法を伝授!沖縄には台風が近づいており、うねりも入ってきています。サンゴ礁が防波堤の役割をしていることもよく分かりました。
これにてサンゴマップキャラバンフィニッシュ!!!各地域でお世話になった皆さま、本当にありがとうございました!