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2014年3月20日 | 戻る→ |
1967年単身アメリカに潜水留学し、その後NAUIを日本に導入。現在では、水中写真家として活躍中の田口 哲氏の新刊「淡水魚識別図鑑」が発刊されました。
まだダイバーの僕がカメラマンになったばかりの頃、当然ながら当初は海の魚介類を中心に撮っていたのだが、北海道へ取材に行く様になって、サケやサクラマスにロマンを感じ、興味を持つようになった。結果として山と溪谷社から「渓流の魚たち」と言う写真集でデビューし、大型の図艦「日本の淡水魚」の仕事もさせて頂いた。そしてその後何冊か魚の図艦を制作した。当時、日本に生息する淡水魚の数は200種類少々だとされていたので、その程度の数なら一人で全種類を撮れると思ったのだが、淡水魚は奥が深く、水中撮影に適した状況は年に何日もないので簡単には行かなかった。
私は水に潜るのは自信があるが、あくまでもカメラマンであって魚類学者ではない。とは言え、魚の専門家であっても全部に詳しい方は少なく、それぞれ専門の分野があると言うことを耳にしたので、広く浅く撮るのも良いが、何かは得意な分野を持たなくてはと、サケ・マスの仲間を集中的に取材し、せめてサケ・マスに関しては専門家並になりたいと北海道へ移り住んで取材を続けた。
今回はサケ・マス以外の魚種も種類数を増やしたがそれだけでなく、ビデオで撮影したカットからキャプチャーしたシーンも沢山入れて、斬新な本を目指した。本書のタイトルは識別図艦となっているので、小魚については、水槽撮影で魚体を鮮明に撮影した魚種も増やした。私が目指したのは自然環境で見た時に一目で分かる為の図艦で、机上で棘条を数えたり、鱗を数えたりするためのものではない。活魚を自分で、識別すると言う程度の一般者向けである。又、交雑の多いフナの仲間やどんどん分類が進んでしまうヨシノボリ、ドジョウ、メダカの仲間などは、正直な所、私自身も見分けられないものが増えて来て困っている。小型の図艦でもあり、これらは比較的知られる様になった主な種類しか掲載していないので、ご容赦頂きたい。とは言え、とりあえずこの本に載った魚を半分程度まで見ることが出来た頃に諸兄はマニアの仲間入りが出来るかも知れない。ポケット図艦だから携帯にも便利そうだ。川遊びに行くときは、是非お供に持参して活用して頂ければ著者としてうれしいかぎりである。
誠文堂新光社より3月14日発売。定価1,800円。